乳房のしこりに気付いて当科受診される方へ

当院ではまず、マンモグラフィーと超音波をさせていただきます。その結果、乳がん等の治療が必要な疾患が考えられる場合、針生検(局所麻酔をしてしこりの一部をとる検査)を実施します。生検の結果は約2週間で判明します。

検診マンモグラフィーで要精査とされた方へ

当院で必要な検査ができます。石灰化病変に対するステレオガイド下マンモトームが実施可能です。

乳がんで当科治療される方へ

[はじめに]

乳がんの治療成績は一般的には良好ですが、時に命に関わることがあります。今の医学は治癒率を高める事ができますが、治癒を保証できるところまでには到達していません。治癒率を高める手段として主に手術、抗がん剤治療、ホルモン治療、放射線治療の4つがあります。この4つの手段を病状により使い分けします。

[診療の流れ]

詳細な問診、診察の後のち、下記の検査を受けて頂きます。
 マンモグラフィー、乳房超音波、胸部CT(造影・非造影)、乳房造影MRI

造影CTあるいは造影MRIは実施できない患者さんがおられます。

手術を行う場合には、採血、胸部レントゲン写真、心電図、呼吸機能などを追加します。

上記を元に、治療方針を決定します。

[手術]

大部分の患者さんは手術実施しますが、しこりの大きさが3cm以上あり腋の下のリンパ節にがんのある患者さんは術前化学治療をお勧めする場合があります。

手術は病変が小さければ乳房温存術、病変が広範囲で温存できない場合は全乳房切除術を実施します。

乳房再建ですが原則的に乳がんの治療後に当院形成外科での実施をお勧めさせています。

病状が許せば同時再建も可能です。

腋の下のリンパ節にがんのある患者さんは腋窩郭清術(腋の下にあるリンパ節を全て取り除く手術)を実施します。それ以外の患者さんはセンチネルリンパ節(がんがある可能性の高いリンパ節)の摘出を実施します。摘出したセンチネルリンパ節に大きながんがあることがわかったときは、腋窩郭清を実施します。

入院期間は温存・センチネルの術式で4~7日程度、それ以外では7~10日程度の入院です。

乳がんの手術は、患者さんの負担が少なく安全性も高いといわれています。患者さんが他の病気を持っているかどうかにもよりますが、積極的な治療をお勧めしています。

[手術後の病理検査]

手術後4週間で病理結果(顕微鏡による検査結果)が判明します。結果に応じてホルモン療法、抗がん剤治療、放射線治療の実施の有無、スケジュールを決めます。

なお、自費診療になりますがOncotypeDXという乳がんの再発率と抗がん剤治療効果を予測する検査も実施可能です。

非浸潤がんの患者さんは原則的に手術と、温存の患者さんには放射線療法を実施します。

浸潤径が5mmを超える浸潤がんの患者さんは、再発率を低下させるため抗がん剤治療、ホルモン療法や放射線治療を実施します。

[抗がん剤治療]

抗がん剤治療はホルモン療法が効かない乳がんあるいは進行した乳がんの患者さんに実施します。

当科ではAC療法(3週間に1回の点滴を計4回)、TC療法(3週間に1回の点滴を計4回)、パクリタキセル療法(1週間に1回の点滴を12回)ドセタキセル療法(3週間に1回の点滴を4回)が実施可能です。

また、HER2陽性乳がんはハーセプチン療法(3週間に1回の点滴を1年)を併用します。

これらの抗がん剤治療はホルモン療法や放射線療法の前に実施します。同時には実施しません。

[ホルモン療法]

ホルモン療法はエストロゲンレセプター陽性乳がんに実施します。目立った副作用の少ないのが特徴です。飲み薬で5~10年服用いただきます。場合により、LH-RH製剤といわれる注射剤を併用します。

[放射線療法]

放射線療法は診療日の週5回、5週間連続合計25回実施します。放射線外来で実施します。乳房温存術を受けた患者さんと、4個以上の腋の下のリンパ節にがんの転移がある人に受けていただいています。

[術前抗がん剤療法]

腋の下のリンパ節にがんがあって、しこりの大きさが3cm以上ある方が候補になり得ます。手術の前と後で実施する抗がん剤のメニューは同一です。手術の前に抗がん剤を実施しても後に実施しても治療成績(生存率)に差がないことがわかっています。術前抗がん剤療法のメリットは治療効果を確認できる点にあるといわれています。
 

甲状腺のしこりにて当科受診される方へ

まず、超音波検査と採血をします。その結果、甲状腺がんなどが考えられる場合には、採血で行うような細い針で細胞診をします。結果は10日ほどで報告します。

甲状腺がんで当科治療される方へ

[はじめに]

甲状腺がんの治療成績は一般的には良好ですが、組織型(がんの顔つき)によっては、時に命に関わることがあります。今の医学は治癒率を高める事ができますが、治癒を保証できるところまでには到達していません。治癒率を高める手段として主に手術、抗がん剤治療などがあります。

[診療の流れ]

詳細な問診、診察の後、下記の検査を受けて頂きます。
 頸部超音波検査、胸部CT(造影・非造影)

手術を行う場合には、採血、胸部レントゲン写真、心電図、呼吸機能などを追加します。

造影CTは実施できない患者さんがおられます。

上記を元に、治療方針を決定します。

[手術]

甲状腺がんでは、ほとんどが手術実施します。しかし大きさが1cm未満の場合には微小甲状腺がんとして経過観察することもあります。

手術は病変が小さければ甲状腺部分切除、病変が広範囲の場合は甲状腺全摘術を実施します。熱凝固超音波装置を使用しますので、合併症も少ないです。

甲状腺の周囲にリンパ節にがんのある患者さんは郭清術を実施します。

入院期間は甲状腺部分切除の術式で4~7日程度、全摘術では7~10日程度です。

[手術後の病理検査]

手術後4週間で病理結果(顕微鏡による検査結果)が判明します。結果に応じて補助療法を施行します。

副甲状腺のしこりにて当科受診される方へ

当院では、まず、超音波検査と採血をします。その結果、副甲状腺腺腫や過形成などが考えられる場合には、画像検査を追加していきます。

副甲状腺腺腫や過形成で当科治療される方へ

[はじめに]

副甲状腺腺腫や過形成は良性疾患ですので、確実に治療することで治療成績は一般的に良好です。

[診療の流れ]

詳細な問診、診察の後、下記の検査を受けて頂きます。
 頸部超音波検査、胸部CT(造影・非造影)、MIBIシンチ

手術を行う場合には、採血、胸部レントゲン写真、心電図、呼吸機能などを追加します。

造影CTは実施できない患者さんがおられます。

上記を元に、治療方針を決定します。

[手術]

副甲状腺腺腫や過形成では、ほとんどが手術実施します。

手術は病変が1腺であれば、摘出します。4腺の場合では、全部摘出します。熱凝固超音波装置を使用しますので、合併症も少ないです。

まれな副甲状腺がんの場合には、周囲のリンパ節郭清を実施します。

入院期間は4~7日程度です。

[手術後の病理検査]

手術後4週間で病理結果(顕微鏡による検査結果)が判明します。結果に応じて補助療法を施行します。